話題のchatGPT(チャットジーピーティー)は、2022年11月30日に公開されましたが、2023年1月にはアクティブユーザー数が1億人に上りました。
史上最速で急成長していると言っても過言ではない非常に生活に溶け込みやすいツールです。
誰でも自由にアクセスできる一般的なオープンソースのAIモデルであり、ついついパーソナルな情報もプロンプトに入力してしまいがちですが、情報漏洩などの危険性はないのでしょうか。
chatGPTのデメリットとして、情報漏洩の危険性はないのか?についてまとめます。
Contents
chatGPTに情報漏洩の危険性はないのか?
ChatGPT自体は情報漏洩のリスクを持ちませんが、ChatGPTが利用されるアプリケーションやシステムによっては、そのシステムが保持する情報が漏洩する可能性があります。
例えば、ChatGPTを利用して機密情報を扱うシステムが不適切なセキュリティ対策を行っている場合、ChatGPTを経由して漏洩する可能性があります。
そのため、ChatGPTを利用する際には、適切なセキュリティ対策が必要です。
chatGPTはパーソナルな人工知能モデルではない
プロンプトに入力した文章のレベルに相応するような返事をする特性から、アカウントごとにパーソナライズされている?と感じることがあります。
しかし、ChatGPTは、訓練データに基づいて生成された汎用的な言語モデルです。個々のアカウントに対して最適化されることはありません。
ChatGPTは、大量のデータセットを使用して事前にトレーニングされ、そのトレーニングされたモデルが提供されます。
ユーザーがChatGPTを利用する際に、個々のアカウントに対して新しいトレーニングを行うことはありません。
ChatGPTは、各質問を独立したものとして処理しますが、前回までの質疑を参照することで、より正確で意味のある回答を提供することができます。
ChatGPTは、前回までの質問に対して自動的に情報を記憶するわけではありませんが、前回までの質疑を参照することで、より的確な回答を生成するための文脈を把握することができます。
このような事情から、ChatGPTがユーザーにパーソナライズされてディープラーニングしているように感じることがありますが、個々のアカウントに対して最適化されることはありません。
完全にパーソナライズされた人工知能モデル(特定の個人に完全に適合するように設計されたもの)は、現時点で一般的には存在しません。
これは、完全にパーソナライズされたモデルを作成するためには、膨大な量の個人データが必要であることや、そのようなモデルを構築することが困難であることが原因となっています。
ただし、一部の特定の目的に特化した、より限定的な範囲でのパーソナライズは可能です。
あらかじめ大量のデータで学習した人工知能モデルを、特定のタスクに適応させる、「ファインチューニング」という方法があります。
例えば、ChatGPTを特定の業界の専門用語や文脈に適用するために、そのデータを使用してChatGPTのパラメータを微調整することができます。これにより、より正確な回答や推論が可能になります。ファインチューニングは、人工知能の応用範囲を広げるために有効な手段であり、現在広く利用されています。
特定の目的に特化した人工知能モデルの例
特定の目的に特化した、その他の人工知能モデルの例を挙げます。
Google Neural Machine Translation(GNMT)
目的 | 自然言語処理における機械翻訳 |
モデル名 | Google Neural Machine Translation(GNMT) |
機能 | 複数の言語間で自然な翻訳を行う |
Google Neural Machine Translation(GNMT)は、従来の機械翻訳に比べ、より自然で流暢な翻訳を実現することができます。その特徴は、ディープラーニングによって翻訳モデルを構築していることで、言語の文脈や構文をより正確に把握できる点にあります。また、複数の言語対応が可能であり、単語レベルでの対訳関係を学習しているため、意味的な誤りが少ないとされています。さらに、言語の種類による制限が少ないことも特徴の一つで、異なる言語間の翻訳にも柔軟に対応できます。
AlexNet
目的 | 画像認識 |
モデル名 | AlexNet |
機能 | 大規模な画像データセットを用いて、物体の分類・認識を行う |
AlexNetは、2012年のImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge(ILSVRC)で優勝した深層学習モデルです。このモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用して、高解像度の画像を分類することができます。AlexNetは、画像認識における重要なマイルストーンの1つであり、深層学習がコンピュータービジョンの分野で使用されるようになったきっかけとなりました。AlexNetの特徴は、多層の畳み込み層を利用することで、高解像度の画像に対して高い精度で分類を行うことができる点です。また、活性化関数にReLUを採用することで、学習速度を高めることができます。AlexNetは、GPUを利用して高速に学習することができるため、現在でも広く利用されています。
Deep Speech
目的 | 音声認識 |
モデル名 | Deep Speech |
機能 | 大量の音声データを用いて、音声認識を行う |
Deep Speechは、音声認識を行うためのディープラーニングモデルであり、音声から文字列を生成することができます。このモデルは、音声の波形データを受け取り、スペクトログラムに変換し、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と再帰型ニューラルネットワーク(RNN)を使用して音声を文字列に変換します。Deep Speechは、大量のトレーニングデータと高度なニューラルネットワークを使用することで、従来の音声認識モデルよりも高い精度を実現しています。また、オープンソースで公開されており、コミュニティによる改良が進められています。
AlphaGo
目的 | ゲームAI |
モデル名 | AlphaGo |
機能 | 囲碁のプロ棋士と対戦し、勝利を収めたことで有名。人工知能による高度な戦略の展開が可能 |
AlphaGoは、囲碁のルールと過去の対局データを学習し、自己対局や人間との対局を通じて強化学習を行うことで、人間に勝つことができるレベルの囲碁の実力を持ったAIです。AlphaGoは、膨大な局面から最善手を導き出すために、Monte Carlo Tree Searchと深層ニューラルネットワークを組み合わせたアルゴリズムを採用しています。また、対局中には、その場で決定された碁盤上の状況に応じて、リアルタイムで最適な手を選択する能力も持ち合わせています。
これらは一例であり、人工知能技術は様々な分野で利用され、その用途に合わせた特化型のモデルが開発されています。
情報漏洩を防ぐchatGPT利用時の適切なセキュリティ対策とは
ChatGPTを利用する際には、以下のようなセキュリティ対策がおすすめです。
プライバシー保護のためのセキュリティ対策を講じる
適切な暗号化やファイアウォールなどのセキュリティ対策を実施することで、外部からの不正アクセスや攻撃を防止することができます。
個人情報の入力を避ける
ChatGPTを利用する際には、個人情報などの重要な情報を入力することは避けるべきです。例えば、実名や住所、クレジットカード番号などを入力することは避け、匿名で利用するようにしましょう。
セッションの終了を忘れずに行う
ChatGPTを利用したセッションを終了することで、次の利用者が個人情報や会話の履歴などを閲覧できないようにすることができます。
サードパーティ製アプリの使用を避ける
ChatGPTに接続する際には、公式のWebサイトやアプリを使用することが推奨されます。サードパーティ製のアプリやツールを使用する場合は、情報漏洩やセキュリティのリスクが高まるため、注意が必要です。
サポート体制を確認する
ChatGPTを提供する企業やサイトが適切なサポート体制を持っているかを確認することも重要です。問題や不明点が発生した場合には、適切なサポートが受けられるようにしておくことが望ましいです。
情報漏洩以外の危険性として考えられること
情報の真偽性や信頼性
ChatGPTが多くの人々の可処分時間を大幅に奪い、暮らしの利便性を上げてくれることによって、様々な未来が訪れる可能性があります。
まず、ChatGPTによって迅速に正確な情報を得ることができるようになるため、個人の生活やビジネスにおいて生産性が向上することが期待されます。ChatGPTが自動的に業務を行うことで、人々はより多くの時間を自由に使うことができるようになるかもしれません。
さらに、ChatGPTを利用することで、情報のアクセスがより容易になり、知識を得るための障壁が低くなる可能性があります。これにより、教育や研究など、知的活動に従事する人々にとって、より多くの機会が提供されることになるかもしれません。
一方で、ChatGPTによって情報が自動生成されることが多くなることによって、情報の真偽性や信頼性が懸念されることもあります。
しかし、ChatGPTの技術が急速に発展しているため、今後さらに新たな可能性が開かれることも期待されます。
技術の発展に伴って、その利用における倫理的問題や社会的影響についても議論される必要があります。
失業率が上昇を招くリスク
ChatGPTのような自動化技術が進歩することにより、一部の業務が自動化される可能性があります。例えば、簡単なテキスト処理や翻訳、顧客対応などが該当します。
このような業務が自動化されると、その業務に従事していた人々の雇用に影響が出る可能性があります。もし自動化技術によって大量の業務が不要になる場合、失業率が上昇するリスクがあります。
しかし、自動化によって生まれた余裕で新たな業務が生まれることもあるため、労働市場の変化は複雑であり、失業率が上昇するとは限りません。
さらに、自動化技術によって生まれた効率性は、企業の競争力向上につながることもあるため、失業率上昇という問題だけでなく、様々な社会的問題が検討される必要があります。
生成された文書の著作権
ChatGPTが生成したテキストを元にリライトした文章をユーザーの著作物として一般に公開することは可能なのか?
どこまで編集すれば、その著作物の独創性が認められるか線引きが曖昧でわからない場合があると思います。
結論、OpenAIが提供するChatGPTは、一般に利用可能なオープンソースのモデルのため、ChatGPTで送受信したテキストや返答の使用権は、基本的にはユーザーにあります。
ChatGPTによって生成されたテキストを元に作成された文章を一般向けに公開することは、OpenAIの著作物を侵害することではありません。
ただし、ChatGPTを利用する際には、OpenAIが定める利用規約に従う必要があります。
OpenAIの利用規約では、ChatGPTを利用する際に、個人または商用目的を問わず、OpenAIの許可を得ることが必要とされています。
また、OpenAIの著作権や商標を含む知的財産権に関する情報も規定されています。
したがって、ChatGPTを利用する際には、OpenAIの利用規約に従ってOpenAIの知的財産権に配慮する必要があります。
OpenAIが提供するサービスに関する利用規約や著作権、商標を含む知的財産権に関する情報は、以下のウェブサイトから確認できます。
OpenAI 利用規約
まとめ
ChatGPT自体は情報漏洩のリスクを持ちませんが、利用するシステムやアプリケーションによっては、そのシステムが保持する情報が漏洩する可能性があります。適切なセキュリティ対策を講じることが必要です。
ChatGPTは、大量のデータセットを使用して事前にトレーニングされた汎用的な言語モデルであり、個々のアカウントに対して最適化されることはありません。
ChatGPTを利用する際には、プライバシー保護のためのセキュリティ対策を講じる、個人情報の入力を避ける、セッションの終了を忘れずに行う、サードパーティ製アプリの使用を避ける、サポート体制を確認することが推奨されます。
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