近年、自然言語処理技術の進歩によって、人工知能がより高度な言語理解能力を身につけるようになりました。その中でも、GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAIが開発した言語モデルの一つであり、さまざまなタスクに適用可能な高性能を誇っています。
本記事では、GPTの一つであるchatGPTに着目し、ユーザーが自分自身のデータで学習させるファインチューニングについて解説します。
Contents
chatGPTの学習データについて
chatGPTの学習データは、大量のテキストデータを用いて学習されます。その収集元は、主にウェブ上の公開された大量の文書や書籍、Wikipediaのようなオンライン百科事典、ニュース記事、ブログ記事、SNSの投稿などです。
収集されたテキストデータは、言語モデルの学習に適した形式に前処理されます。この前処理には、文字の正規化、トークン化、特殊トークンの追加、文脈の切り出しなどが含まれます。また、データセットから不要な情報を削除したり、不適切なデータを除外するなど、クリーニング作業も必要となります。
データの種類としては、英語をはじめとする多数の言語に対応したデータセットが用意されており、その他にも技術文書や医療情報、法律文書、映画の脚本など、様々な分野のテキストデータが含まれます。これにより、chatGPTは多様な分野の知識を獲得し、幅広い用途に応用することができます。
chatGPTの学習方法について
1.事前学習
chatGPTは大規模なニューラルネットワークを用いて自然言語処理を行うモデルであり、その学習には事前学習が行われます。事前学習とは、あらかじめ大量のテキストデータを用いて学習を行い、その学習済みの重みを初期値としてファインチューニングによる特定のタスクの学習に利用することを指します。
chatGPTの事前学習には、大量のWebコーパスなどを用いた教師なし学習が行われます。事前学習では、単語や文の関係性を抽出し、自然言語処理における各種タスクを実現するための表現を獲得することが目的となります。chatGPTでは、Transformerと呼ばれるニューラルネットワークモデルをベースとして、複数のレイヤーに渡って処理を行い、自然言語処理に必要な情報を抽出しています。
2.ファインチューニング
chatGPTでは、事前学習済みの重みを初期値として、特定のタスクに適応させるためにファインチューニングが行われます。ファインチューニングは、ユーザーが持つ少量のデータを用いて、chatGPTを特定のタスクに適応させる学習方法です。
ファインチューニングには、ユーザーが対象とするタスクに応じたデータセットを用意する必要があります。例えば、対話システムの構築を目的とする場合は、問答ペアのデータセットを用意することが必要です。ユーザーは、このデータセットを用いて、chatGPTを特定のタスクに適応させるための学習を行います。
ファインチューニングでは、特定のタスクに適応するために事前学習済みの重みを微調整します。ユーザーが持つデータセットを用いた学習を繰り返すことで、chatGPTは特定のタスクにおいて高い性能を発揮するようになります。
次の書籍では、ファインチューニングの方法を学ぶことができます。特に、Kerasはシンプルで使いやすいフレームワークとして有名であり、Kerasを使用したファインチューニングの手法が詳しく解説されています。
chatGPTをユーザー側が学習させる「ファインチューニング」
chatGPTのファインチューニングを一人で行うためには、Pythonをはじめとするプログラミング言語の基本的な文法やデータ処理の知識が必要です。
以下に大まかな流れを示します。
1.ファインチューニングの手順
- 必要なライブラリをインストールする。
- テキストデータを用意する。
- 事前学習済みのモデルを読み込む。
- テキストデータを前処理し、モデルが理解できる形式にする。
- モデルをファインチューニングする。
- ファインチューニングしたモデルを保存する。
2.ファインチューニングのポイント
- テキストデータの量と質:ファインチューニングに用いるテキストデータは、多くかつ質の高いものであるほど、モデルの性能が向上する可能性が高くなります。
- モデルの選択:ファインチューニングに適したモデルは、事前学習に用いたモデルと同じタスクに向いているものが好ましいです。
- ハイパーパラメータの調整:ファインチューニングに用いるハイパーパラメータ(学習率やバッチサイズなど)を調整することで、モデルの性能が向上する可能性があります。
これらのポイントに注意しながら、適切なファインチューニングを行うことで、chatGPTをユーザー側が学習させることができます。
ファインチューニングでchatGPTは完全にパーソナルな脳として学習していくか
chatGPTのファインチューニングは、ある程度の範囲でパーソナライズ化が可能です。
具体的には、ユーザーが提供するデータに応じて、chatGPTがそのデータを学習し、その特定のコンテキストに適した応答を生成するように調整できます。
また、ファインチューニングの際には、ユーザーが生成される応答の多様性や質を向上させるために、多数のハイパーパラメーターを調整することが可能です。
ただし、chatGPTはあくまでコンピュータプログラムであり、人間のような本格的なパーソナライズ化は限界があるため、その点に留意する必要があります。
以下の書籍は、自然言語処理に関する基本的な技術や、機械学習のアルゴリズム、モデルの評価方法などを解説しています。また、テキスト分類や固有表現抽出などのタスクに対して、実際に機械学習を用いた手法を紹介しており、chatGPTのファインチューニングにも役立つ知識を学ぶことができます。初学者から中級者まで幅広い読者に対応しており、プログラミング言語のPythonの基本的な文法やデータ処理の知識があれば、読み進めることができます。
「自然言語処理のための深層学習入門」は、自然言語処理に必要な基本的な理論から、実践的な応用まで幅広くカバーしている本格的な書籍です。特に、深層学習を用いた自然言語処理について詳しく解説しており、chatGPTのファインチューニングに必要な知識を身につけるためには最適な書籍の1つとなるでしょう。初心者にもわかりやすく、実際のコード例を多数掲載しているため、実践的な学習にも向いています。
chatGPTの性能向上に向けた取り組み
現在、OpenAIではchatGPTの性能向上に向けて様々な研究が行われています。その中でも特に注目されているのが、より多くのデータを使った大規模な事前学習と、より効率的なモデルアーキテクチャーの開発です。
例えば、2020年にはGPT-3という新しいモデルが発表されました。これは、従来のGPT-2に比べて、より大きなデータセットで事前学習を行い、より多くのパラメータを持つモデルです。この結果、GPT-3は人間に匹敵するレベルの文章生成能力を持つことが示されました。
また、OpenAIはさらに高度な技術開発に取り組んでいます。例えば、GPT-3の次世代版として「DALL·E」や「CLIP」といったモデルを開発しています。DALL·Eは、文章の説明から画像を自動生成することができるモデルであり、CLIPは、画像や文章の特徴量を共通の空間に埋め込むことができるモデルであり、より高度なクリエイティブ活動が可能になることが期待されています。
まとめ
chatGPTは、人工知能の中でも特に注目される自然言語処理の分野で、高い性能を発揮しています。その性能を発揮するためには、大量のデータセットでの事前学習が欠かせません。また、ユーザー側でのファインチューニングにより、個人のニーズに合わせたカスタマイズも可能です。今後も、より多くのデータを利用した学習や、より効率的なモデルアーキテクチャーの開発などによって、chatGPTの性能は更に向上していくことが期待されています。
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