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はじめに:沈黙の期間と、再始動について
このブログのログを見返してみると、始動したのは2019年のことでした。 すぐに更新が途絶え、次はChatGPTと出会った2023年に再始動。
しかし、それも長くは続かず、今日まで長い沈黙が続いていました。
この空白の期間、私は何をしていたのか。
主にWebデザイナーとして、いわゆる「クライアントワーク(受託制作)」に専念していました。 中小企業の経営者様から依頼を受け、サイトを作り、システムを組む。おかげさまで経済的には大きく成長し、かつて渇望していた安定も手に入れました。
しかし、それと引き換えに痛感したのは、資本主義というシステムの「冷たい手触り」でした。 そしてある日突然、私は動けなくなりました。
「燃え尽き症候群」です。
思えば、私はずっと迷っていたのだと思います。 クライアントの要望に応える黒子としての生き方か、自分自身をプロダクトとして発信する生き方か。その狭間を行き来していました。 経済合理性だけで言えば、クライアントワークが正解だったのかもしれません。
私は結局この場所、ブログ「kuzguz.net」に戻ってきました。 人生において、検証しすぎるということはありません。 私はもう、他人のルールや、社会が決めた評価軸では戦いません。
今回、その決意と経緯をYouTube動画として公開しました。
顔出しをすることに恐怖はありましたが、同じような閉塞感を抱えているわずかな「同志」に、この想いを肉声で届けたいと考えたからです。
動画の中では、社会に過剰適応しようとしていた自分との決別を込め、あえて普段の一人称である「俺」を使い、敬語も排しています。 ブログの「私」とはトーンが異なりますが、それもまた、私の嘘偽りのない側面として受け取っていただければ幸いです。
動画アーカイブ:燃え尽き症候群と社会のバグについて
以下は、動画で語った内容の記録と補足です。
警告:「希望」という名の麻酔
もしあなたが、「今の苦しみに耐え抜けば、いつかきっと楽になれる」「組織に従っていれば安泰だ」と信じているなら、この先の話は残酷に響くかもしれません。 なぜなら、そのレールの先に待っているのは「自由」ではなく、「構造的な絶望」である可能性が高いからです。
優秀な奴隷の誕生と限界
かつての私は、貧困へのトラウマから「金さえあれば幸せになれる」と信じ、労働に没頭しました。 しかし、稼ぐことにのめり込むあまり、「目的(幸せ)」と「手段(労働)」が逆転してしまいました。
どれだけスキルを高めても、仕事と責任だけが増えていく。 それはまるで、「優秀な奴隷」を生産するためのベルトコンベアの上を走っているような感覚でした。 そして、そのコンベアに少しの変数が加わっただけで、システムは私というOSをエラーとして吐き出しました。それが、私が経験した燃え尽きの正体です。
「クソゲー社会」の構造的欠陥
ビジネスの裏側を深く知るにつれ、私は2つの不条理に気づきました。
- 多重下請け構造による搾取: 価値を生み出すクリエイターや現場が疲弊し、右から左へ流すだけの仲介者が利益を得る構造
- 縮小再生産のループ: 「成功モデル」の模倣(TTP)が推奨され、情報の非対称性を利用した「情弱狩り」が横行する現状
ここにはイノベーションも、本質的な価値もありません。 このルールの中で勝ち上がるには、不条理なシステムに目をつぶり、その片棒を担ぐ必要がありました。真面目な人間ほど、その自己矛盾に耐えきれず、心を壊してしまいます。
AI時代における「マニュアル人間」のリスク
さらに皮肉なことに、会社が求める「マニュアルを守り、ミスなく、標準化された仕事をする人材」は、AIが最も得意とする領域です。 組織の理想を目指して努力することは、すなわち「AIへの置き換えコストが低い部品」へと自分を加工する行為に他なりません。 沈みゆく泥舟の中で、船長の顔色を伺いながら、代替可能な部品になろうとする。これこそが最大のリスクです。
生存戦略:自分のルールで生きる
では、どうすればよいのか。
答えはシンプルです。
「他人の評価軸」から降りること。
無限の成長を前提とした資本主義のルールではなく、自分の性質と情熱に基づいた「自分のルール」で戦うこと。 これは単なる自己実現の願望ではなく、冷徹な生存戦略です。
最後に
動画内でも触れましたが、「燃え尽き症候群」は一度なってしまうと、完治したのかどうかの判断が非常に難しいものです。 私自身、今でも完全に治ったのかと問われれば、断言はできません。
しかし、そもそも人生における感情やバイタリティに、波があるのは当然のことです。 私はもう十分に休み、十分に考えました。
これからは、その闇の中で見つけた「生存のための知恵」を、かつての私のように苦しんでいる誰かに伝えていきたいと考えています。 それが、今の私がこのブログとYouTubeを動かす、唯一の原動力です。





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