「ブラック労働」といえば一般的に社員に長時間労働や過剰なノルマを強いる会社のことを言いますが、フリーランスも外注先としてその標的になり得ます。
2ch創設者の西村ひろゆきさんの著書「働き方 完全無双」の中に「個人の取引がブラック化」する時代が来るという未来予想が書かれていました。飄々と人生を生き抜いているように見えるひろゆきさんの著書からフリーランスの働き方について学びを得たのでご紹介します。
Contents
西村ひろゆき著「働き方 完全無双」
まずは本の紹介。
冒頭からひろゆきさんらしさ全開で始まります。
「先進国で生まれた、あなた。残念でしたね。」
ぷっ、と吹きそうになりましたが、いかんいかん。
なぜなら、ひろゆきさんの本は、ひろゆきさん自身が書いていないからです。(本人談)
内容はひろゆきさんの考えがそのまま反映されているでしょうが、文章は編集者がひろゆきさんに似せて書いたもののようです。編集者ってすごい。
先進国というのは日本のことを指していて、これから日本の景気が沈んでいく前提の元で話が始まります。なぜ、日本が沈みゆくのか具体的な例を挙げながらとてもわかりやすく説明されていました。
沈みゆく中でどう生きていけば良いのか。その答え「無双状態で働く方法」について書かれた本です。
外注先が標的。ブラック化するフリーランスの業務委託
「働き方 完全無双」の中で一番印象的だったのは、下記の「業務委託がブラック化」するという未来予想。
これは未来の話なのですが、企業のブラック体質は、「外注先」が標的になるかもしれません。自分の会社の従業員だと、残業代を支払わなければアウトなのですが、外注先となると関係がありません。
なぜなら、仕事の「成果」に対する報酬があるだけで、それにかけた「時間」は関係がないからです。
引用: ひろゆき. 働き方 完全無双
私らフリーランスは、業務委託として「成果」の見返りに報酬をいただいています。時間は関係ありません。ブラック企業の問題になっていることの多くは「時間」であるため、ブラック体質の矛先が「社員」から「外注先」になるだろうと予測されています。
ん?
いやいや、ひろゆきさん、待て待て。
既に現場ではフリーランスがブラック体質の標的になってますよ!
え、フリーランスなんて固定費のかからない社員みたいなモンでしょ?!
私はフリーランスのデザイナーです。(私のプロフィールはこちらをどうぞ。)
デザイナーに限らずフリーランスの顧客は、大きく二つに分けられると思います。
- 直クライアント(お客様である企業から直接指名をもらい仕事を請ける)
- 下請け(制作会社、広告代理店などが請けた仕事を下請けする)
1つ目の直クライアントの場合は、制作側が主導権を握りやすいのでさほど問題にはなりませんが、問題は2つ目の下請け仕事。
昨今、即戦力となる人材の採用が難しいためか、片っ端からフリーランスにコンタクトしてフリーランスをリスト化している制作会社や広告代理店が多いように感じます。
社員をこき使うことに慣れているブラック体質の会社は、取引先であるフリーランスに対しても対等には接してくれません。目指すべきゴールや修正の意図も伝えず、「とりあえず3案、全く別の案の再考をお願いします!」「明日までに提出できますか?」とか平気で言ってきます。私はそういう生産性のカケラもないような仕事の仕方が嫌いなのではっきり否と言うタイプなのですが、【お客様 > 代理店 > 制作会社 > フリーランス】のように孫請けの形になっている場合も多く、引き受けざるを得ない状況になったりしています。
当たり前のように言ってくるので、私以外のフリーランスも苦しんでいる人がいるんじゃないでしょうか。フリーランスが増えたことで、「フリーランスなんて固定費のかからない社員みたいなモンでしょ?! 残業代も払う必要ないしリスクないじゃん」くらいに思っているとしか考えられない。。
この取引先とは今後付き合いません。
敢えて直接伝えませんが、断るのは簡単。次に依頼が来たら真顔で5倍の値段の見積もりを提出するだけです。(つまり請けません)
広告・IT業界にありがちな強気な態度に押されて断れない方もいるでしょうが、甘んじて厳しい労働を受け入れざるを得ない理由は「未来の不安」ではないでしょうか。
独立したての頃はとにかく仕事に飢えていたので、私もはっきり断れませんでした。
ブラック体質の取引先から逃れるフリーランスの処世術
「働き方 完全無双」では、ブラック体質の標的にならないために以下のことを勧めています。
- 手離れよく仕事をすること
- 得意先の言うなりにならない関係を築くこと
まず、1つ目の「手離れよく仕事をすること」について、以下のように書かれています。
いつまでも自分ごとのように仕事を抱え込んでしまうと、ブラック企業の体質に取り込まれてしまいます。普段の仕事でも、「えいや!」と手離すようにしたいところです。ウェブの世界だと、バグがあっても後で直せばOKです。まずは試作品として世に出してみて、文句が出れば直すというほうが、私は気がラクです。文章でも、ブログやツイッターで書きたいことを書いて、もし、「間違えていますよ」と指摘があれば、そこで訂正をすればいい。世の中に出す前に細かいところまで予測して議論してもムダだと思うんですよね。
引用: ひろゆき. 働き方 完全無双
実は前提として、「プロのデザイナーを除いて」と記載されています。ライターやエンジニアはちゃっちゃと手離れよく仕事をすれば良いけど、デザインは明確な答えがなく100点満点が見えないために長丁場になると説明されています。
むしろ、だからこそデザイナーが一番「手離れ」について敏感でなければならないと感じます。
正社員のころはどれだけ時間をかけても納期さえ守っていればそこまで神経質になる必要はありませんでしたが、私たちフリーランスのリソースは自分の時間。PCの前で「ぼけ〜〜」とただ座っているだけでほとんど品質が向上しないなら、その時間を別の仕事に当てるべきなのです。
デザインは「ん〜〜〜」と考え込んでしまうことも多々ありますが、日頃からすぐに決断しすぐに手を動かすことを習慣化することを意識すると良いと思います。
続いて、2つ目の「得意先の言うなりにならない関係を築くこと」
私が強気に取引先と接することができるようになったのは、私が強くなったからではありません。
単純に仕事量が増えたから。
「別にあなたから無理に仕事を請ける必要はない」というマインドを持てるようになっただけです。往々にして、無理な要望を強いてくる取引先の仕事は、時給換算すると他の案件より低くなっていることが多いです。1人きりでたくさんの仕事をこなしているとスケジュールが合わない案件はお断りするしかありません。それなら初めから時給が低くなりがちな取引先の仕事は請けない方が合理的です。
【まとめ】全体が沈みゆく中で、1人相対優位に立つために
「働き方 完全無双」には、日本が経済的に衰退する根拠が嫌と言うほど語られています。
未来のために今どんなポジションをとれば良いのか参考になるので是非読んでみてください。
他にも様々なヒントがありますが、個人的には以下の2つが印象に残りました。
1つの会社に人生を預けられる時代ではないので、実社会では素早い結果を求めながら、個人では頭を切り替えて、「新しいツール」や「ものづくり」をコツコツやっておく。それが、無双状態の1つめの条件です。
引用: ひろゆき. 働き方 完全無双
「1つの会社」とありますが、「1つの仕事の獲り方」と読み換えて解釈しました。
クライアントワークだけ一生懸命やっていれば言い訳ではないな、と考えています。私自身も、どうポジションをとるか模索中ですが、クライアントワークと平行していくつかのプロジェクトを進行しています。
これからの時代の一番賢い戦略は、人口が減って日本が衰退する一方で、個人だけはスキルを磨いておく状態を創り出すことです。つまり、「個人」と「社会」の問題を分けて考えなくてはいけません。
引用: ひろゆき. 働き方 完全無双
日本が世界と比較して経済的に成長している時代は、周りと同じように働いていれば勝手に豊かになることができましたが、雲ゆきが怪しい未来においては皆一緒に沈んでいきます。活躍している人、儲けている人って悪く言えば「ずる賢い人」が多い気がします。個人と社会の問題を分けて考え、スキルに磨きをかけると同時に自分だけの戦略を練って未来に備えたいですね。
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